地球上にこれ以上過酷なレースはない!と言われ、世界の猛者も「クレイジー過ぎる」と出場をためらうアドベンチャーレースのパタゴニア大会。
アドベンチャーレース『Patagonian Expedition Race 2018』に出場した日本代表チームについて、大会の結果もお伝えします。
TBS『クレイジージャーニー』2018/12/27
アドベンチャーレース・パタゴニア大会とは
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今回で13回目を迎える、アドベンチャーレース・パタゴニア大会は、地球上で最も過酷なレースと言われています。
他のアドベンチャーレースより冒険要素が多いのが特徴で、未踏の荒野、沼地、湖、雪山を、地図やコンパスを頼って進みます。
パタゴニアの美しくも厳しい地形、予測不可能な天候の中、約600kmの道のりを10日以内にゴールしなくてはなりません。
前回大会では20チーム中、完走できたのはなんと4チームのみでした。2018年パタゴニア大会に参戦したのはわずか10チーム。
果敢にパタゴニア大会に挑戦する日本人チームの成績、メンバーをご紹介します。
アドベンチャーレース・日本人チーム
パタゴニア大会で着実に順位を上げている日本人チームの「イーストウインド」。
- 2010年 7位
- 2011年 5位
- 2012年 2位
- 2013年 2位
- 2016年 2位
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2018年のメンバーは、田中正人さん、西井万智子さん、安田光輝さん、髙濵康弘さん。
パタゴニア大会常連の田中陽希さんが今回は不在となっています。
田中正人
埼玉県出身、1967年12月2日生まれ。リーダーの田中正人さんは6回目の挑戦になります。
50代という年齢で過酷なアドベンチャーレースに参加しているというのは驚異。
1994年、27歳の時にアドベンチャーレースを日本人で初めて完走。
1996年「Team EAST WIND」を結成し、20年以上プロのアドベンチャーレーサーとして海外の大会に出場しています。
時には鬼軍曹のように厳しい姿勢で、チームを引っ張るリーダーとして大きな存在感はテレビ『クレイジージャーニー』を見て印象に残ってる人も多いでしょう。
プライベートでは2001年に通訳・チームプロデューサーの竹内靖恵さんと結婚、公私ともに重要なパートナーとなりました。二人の間には娘さんがいます。
西井万智子/マチマチ
兵庫県出身、6月19日生まれ現在28歳(2018年12月時点)。
西井万智子さんは前回2016年大会に引き続き2回目。愛称はマチマチ。
過酷なレースに挑む紅一点のマチマチさん。
学生時代は陸上、スピードスケートに打ち込んでいました。
2014年にイーストウインドのトレーニング生となり、2018年に正式にメンバー入り。
4人1組男女混合のアドベンチャーレースにおいて重要な女性メンバーです。
プロのリバーガイドとして、特にカヤックで活躍。
笑顔を絶やさず、チームの空気を和ませます。
安田光輝/キラリン
東京都出身、8月5日生まれで現在28歳(2018年12月時点)。愛称はキラリン。
大学時代はワンダーフォーゲル部の主将を務めていました。
「自分の身体がどこまで自然の奥深くまで行けるかを試したい」と登山用品店の仕事を辞めて、2017年にイーストウインドのトレーニング生に。
2018年南アフリカ大会で初の海外レースを経験。
レース中の体調不良に悩まされながらも必死にくらいつき、ゴール後には悔し涙を見せるという、熱い一面も魅力のキラリンさん。アドベンチャーレース・パタゴニア大会へは初めての出場です。
高濵康弘/ハニワ
熊本県出身。愛称はハニワ。髙濵康弘さんは初めての参戦。
2015年ブラジル・パンタナールの世界選手権で海外のアドベンチャーレースに初出場し、同じく初出場の西井万智子さんとチームを共にします。
2017年アメリカ・ワイオミング州の世界選手権にも出場。
主に地図を読む、ナビゲーションを担当しています。
神奈川県川崎市で会社に勤めるサラリーマン。
2009年にヨガインストラクターの宇田詔子さんと結婚。息子さんが1人います。
パタゴニア大会・日本代表結果
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2018年パタゴニア大会、イーストウインドは見事完走し、順位は3位という結果でした!
上位のチームとタイムを見てみましょう。
- 1位:Bend Racing(アメリカ)147時間53分
- 2位:Columbia Vidaraid(スペイン、ブラジル)154時間47分
- 3位:East Wind(日本)164時間11分
1位は、毎回2位争いをしていたライバルのアメリカのBend Racing、2位は世界上位チームながらパタゴニア初参戦のColumbia Vidaraidでした。
1位と3位のイーストウインドの時間差は約17時間。大きな差に見えるかもしれませんが、過去のパタゴニア大会ではトップと1日以上あった差を、今大会でここまで縮められたのは素晴らしいことです。
今回は悪天候のため、カヤックのセクションがキャンセルになってしまいました。日本人チームにとっては4名中、3名がリバーガイドという得意分野が無くなりかなりの痛手です。
もしカヤックが行われていれば、優勝も十分あり得たのではないかと推測されます。
アドベンチャーレースの参加費や賞金
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日本でのアドベンチャーレースの参加費は、ジャパンシリーズで1チーム47,000円。
大会によっては参加費は大きく違い1万円だったり、10万円を超すものも。
2018年パタゴニア大会の参加費は事前登録料50ドルと、 通常価格6,701.24ドル(約75万円)が必要になります。
早めに登録すると、約500ドルの割引が受けられます。
2014年の世界選手権大会では賞金が約75,000ドルあったと言われていました。(約800万円)
しかし、このパタゴニア大会には賞金が無く、名誉だけを得ることができます。
大会によっては数百万円の賞金が出ますが、結局渡航費だけで消えてしまうとのことです。
賞金稼ぎに参加するというのが無いのですから、本当に好きで参加したいという熱意がなければ成り立たないというわけです。
アドベンチャーレースのトイレ事情
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大自然の中でのレースですから「トイレはどうしているんだろう?」と心配になりますが、
日本のアドベンチャーレースの場合は、仮設のトイレがコースに配置されています。さすが日本の細やかな配慮ですね。
しかし海外は、大自然のコースの中で”トイレのおもてなし”なんてものはありません!
アドベンチャーレースではカヤックで10時間以上も漕ぎ続けることがありますが、上陸することもできない、トイレ休憩なんてありえない世界です。
そういった時のためにイーストウインドは成人用のおむつを使用しています。
リーダーの田中正人さんは、小の場合は走りながら・・・ということもある、とクレイジージャーニー内で語られていました。
本当に情熱がないと耐えられない極限な競技、クレイジーなレースです。
アドベンチャーレースで死者?
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危険と隣り合わせのアドベンチャーレース。過去にはレース中にも、転覆や落石により死者が出ています。
そしてレースだけではなく、危険なのは練習も同じです。
2013年、アドベンチャーレースのアマチュアチームに所属する2名が練習中に亡くなり、イーストウインドも過去に仲間を失っています。
厳しい世界大会へ向け、もっともっと練習しなくては、という思いもあったかもしれません。
「リスクマネージメントをしっかり習得する必要がある」と日本チームプロデューサーの靖恵さんがブログに綴っていました。
アドベンチャーレース(パタゴニア)日本代表の結果まとめ
- アドベンチャーレースで最も過酷なパタゴニア大会。大自然に放り出されたような冒険性溢れる大会です。
- 日本人チームは田中正人さん、西井万智子さん、初出場の安田光輝さん、高濵康弘さん。
- 3回連続準優勝のイーストウインド。
- 2018年の結果は3位。1位との差は約17時間。
- パタゴニア大会の参加費は約75万円。しかし賞金は無し。得られるのは名誉だけ。
- アドベンチャーレースでトイレに行けない時のため、イーストウインドは秘策としておむつを使用。
- 大会中に死者が出たことも。イーストウインドは過去に練習中、仲間を失っています。危険と隣り合わせのレース。